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ぶらり、草競馬
3565番目の訪問者です
 第36回 ばんえい記念  2004.2.22 帯広競馬場
 条件)4歳以上 距離)ダート200m  1着本賞金)7,000,000円  天候)雪 水分)6.9%

 Introduction !

過去5年間の優勝馬
回数(開催日) 優勝馬
第35回(2003.2.16) スーパーペガサス
第34回(2002.2.17) サカノタイソン
第33回(2001.2.18) サカノタイソン
第32回(2000.2.6) シマヅショウリキ
第31回(1999.2.7) シマヅショウリキ
年度を締めくくる大一番!
 さて、今年もばんえい競馬の年度総決算レースと言える『ばんえい記念』の季節がやってきました。
 賞金体系からも分かるようにばんえい競馬における最高峰に位置する、最もステータスの高いレースと言い切って異論の無いところでしょう。負担重量1000キロ。ゴールまで曳き切るだけでも大変な、過酷なレースであります。

 ばんえい競馬の重賞レースの中では最も盛り上がるべきこのレースですが。。。さて今年は出走表を見て少々気になる事態と言わざるを得ません。出走頭数がなんとも少ない全5頭。頭数が揃えば良いレースと言うわけでは決してないし、少頭数先鋭となり本当に重量1000キロで勝負になりそうな馬達によるガチンコレースとしての楽しみはある。
 が、やはりより高い収益を期待する主催者側からすると。。。馬券的を売りにくい憂うべき状況ではないでしょうか。

 残念ながら重賞レースの賞金が毎年下がりつつあるばんえい競馬。酷量の『ばんえい記念』に出走させる名誉よりも、ここで無理せず来年度にしっかり稼ぎたいという心理が各陣営に働きつつあるのではないかなあ。
 例えば今年度で引退したサロマオーカン。01'年の『ばんえい記念』に出走し、2番人気で4着。しかし、『ばんえい記念』後はパッタリと精彩を欠いてしまって結局重賞戦線には帰ってこれなかった。やはり、『ばんえい記念』の1000キロ曳いた反動は少なからずあったんじゃないかなあ。出走させるだけでも大変なレースなんですよね。

 まあそんな雑感など含めて、過酷なこのレースに今年エントリーさせてきた5頭の陣営にはエールを送り、5頭全てを応援したい気持ちであります。


 Entry !

馬名 斤量/性齢 騎手 所属
1 1 ヒカルセンプー 1000/牡馬7歳 坂本東一 梨本
2 2 ミサキスーパー 1000/牡馬7歳 鈴木勝堤 鈴木
3 3 シンエイキンカイ 1000/牡馬7歳 西 弘美 久田
4 4 スーパーペガサス 1000/牡馬8歳 岩本利春 大友
5 5 クシロキンショウ 1000/牡馬10歳 大口泰史 鈴木

スーパーペガサス
スーパーペガサス

出走馬紹介
 出走馬5頭に敬意を表して全馬プロフィールを。

スーパーペガサス
 現在のばんえい古馬大将であるスーパーペガサスが昨年優勝に続く『ばんえい記念』2連覇に挑む。
 今年度に入っても好調キープで、重賞勝ちは旭川で『旭王冠賞』『北斗賞』、岩見沢で『岩見沢記念』、北見で『北見記念』とビッグタイトルを勝ち取っており重賞成績では他の追従を許さない。
 高重量戦でのバテ無い強み。かといって、鈍重なタイプというわけでもなくスピード競馬もこなす。コースによる成績のばらつきも無く、本当に何拍子も揃ったバランスの良い馬。

 4歳時(現3歳)のばんえいクラシック路線では『ばんえい大賞典』を優勝してはいるが、5歳時には優勝タイトル無し。
 その後6歳の年に挑戦した『旭王冠賞』(01'旭川)を8番人気で優勝してあっと言わせた。真の素質開花を迎えた瞬間だったわけだが、それまで非常に大事に使われてきたからそこからの活躍があったのではないでしょうか。今もってまだまだ馬が若いしね。

 さて、今年の『ばんえい記念』へのステップとして帯広の『帯広記念』(1/2)、『チャンピオンカップ』(1/25)を使ったのは昨年と同じ。結果は両レースとも2着。
 『帯広記念』ではばんえい史上初の『旭王冠賞』『岩見沢記念』『北見記念』『帯広記念』の4市記念レース制覇が懸かったが、結果2着。『チャンピオンカップ』は昨年・一昨年優勝に続く3連覇が懸かっていたが、こちらも2着。
 ともに賞金を稼いでいる分だけ他の馬より負担重量が大きいという点を考慮すれば本番に向けては上々の試走だったと言えるでしょう。が、負けた相手がともに同じ馬だったことが少々誤算だったのではないでしょうか。その馬はミサキスーパー。

ミサキスーパー
 4歳時(現3歳)に『はまなす賞』(01'岩見沢)を勝っているが、クラシック路線には見向きもせずそれまでは黙々と非重賞戦を使われていた。『はまなす賞』を勝った後数戦重賞レースを使われたが、『オールスターカップ』(01'北見)での3着の成績が目につく程度か。
 『チャンピオンカップ』(02'帯広)で9着の成績に終わった後、02'年春〜03'年春まで再び非重賞戦を使い続ける。実力を試す区切りとして重賞に挑戦させているような感じで、無理せず大事に使われて来た感があります。

 そして、02'年の春の実力テストに選ばれたレースが強敵揃いの『旭王冠賞』(03'旭川)。重賞成績に乏しいミサキスーパーは8番人気の低評価。しかしレースでは粘り込んでスーパーペガサスの2着に健闘した。
 例年10月以降に行われているこのレースは、当該シーズンでの獲得賞金に連動して設定されるばんえい重量のシステム上800キロ以上の重量を曳くのが例年の特徴である。が、この年は開催日程の都合上全馬780キロの重量だった点、この馬の好走条件にハマッタのかもしれない。が、今思うと素質の片鱗を見せた瞬間だったのでろう。
 以降、当然人気を上げることになるが、結局特別戦での1勝をプラスしただけで重賞レースでの結果は出ず。一発屋的な印象でこの年は終わった。

 驚くべき変貌を見せたのはやはり年明けてからでしょう。前述の通り『帯広記念』『チャンピオンカップ』と2つの重賞で連続してスーパーペガサスを破る大金星。特に『チャンピオンカップ』では10キロの重量差しか無い条件でスーパーペガサスの追撃を振り切ったのは評価して良いのではないか。

 ファンの方も「おや?これはホンモノじゃないか?」と感じ始め本日は2番人気。このレースが試金石になりそうだ。先行力があり障害も上手いこの馬にとっては今日の馬場も有利な方向に働きそう。
 鈴木邦哉厩舎はもう一頭クシロキンショウという看板馬がいるが、今期の鈴木勝堤騎手はこちらを選択して乗り続けている。無論、期待の現れでしょう。

シンエイキンカイ
 4歳クラシック(現3歳)でも『ばんえいダービー』(00'旭川)で2着、『ばんえい菊花賞』(00'帯広)で3着と善戦したが、タイトルには届かず。
 シンエイキンカイが本領を発揮しだしたのは翌年から。年明けて『チャンピオンカップ』(01'帯広)を800キロの重量で制す。その後、810キロの『北見記念』でマルニエーカンの2着、850キロの『岩見沢記念』でクシロキンショウの2着、860キロの『旭王冠賞』でスーパーペガサスの2着。
 勝ち味に遅い?いやいや、古馬になっていきなり高重量の重賞戦でこれだけの活躍は並の馬には出来ませんぜ、ダンナ(笑)。そうかと思えば、同世代同士の『旭川記念』(01'旭川)では人気を背負ってコロッと負けているあたりがこの馬らしいというか(苦笑)。

 そして明けて2月。初めての『ばんえい記念』への挑戦。サカノタイソン、スーパーペガサスに続く3着。大健闘だ。この馬の高重量戦での強さを再認識させられた。
 厳しい使い方をされてさすがに反動が出たか、02'年度が始まってからのシンエイキンカイは今ひとつ「らしさ」を欠くスタートとなった。シーズン後半からスローであるが徐々に調子を取り戻して来たようだが、シーズン最後の『ばんえい記念』ではスーパーペガサスの4着止まりに終わった。完調手前だったか。

 今期は重賞での連対は果たせていないが、『ばんえいグランプリ』で3着、『北見記念』で3着、と『帯広記念』でも3着と徐々に持ち味を発揮してきた。
 本番を意識して安部憲二騎手から、フクイチとイエヤスで3度の『ばんえい記念』優勝経験がある西弘美騎手に主戦をスイッチして5戦を消化。掲示板を外さないそつないレース振りで手も合いそうだ。今だ眠れる獅子であるシンエイキンカイが大仕事をするか?

ヒカルセンプー
 今や古馬重賞に無くてはならない存在になっているヒカルセンプーもやはり負担重量が重いレースで持ち味を発揮する馬。
 4歳時(現3歳)クラシックには使われず、非重賞戦で着実に力を付けてきた馬。01'年の『旭川記念』に重賞初挑戦で初制覇。以降も坂本東一騎手という心強いパートナーを鞍上に迎え着実に力を付けて行く。
 重賞タイトルは前述の『旭川記念』の他は『銀河賞』(01'帯広)、『ばんえいグランプリ』(02'/03'岩見沢)。なかでも『ばんえいグランプリ』2連覇がキラリと光る実績であるが、誰もが認める実力馬の割りにはタイトルが少ない気もするが。

 昨年の『ばんえい記念』ではスーパーペガサスにはかなわなかったものの、グレイトジャイナーとの激しい死闘を制して2着をもぎ取った。同期である今回人気のミサキスーパーに対しては勢いではやや劣勢であるものの、この重量での実績は一枚上。負けたく無い一戦だ。
 今やばんえい競馬を代表する看板ジョッキーである坂本東一騎手がこのレースをまだ勝っていない。喉から手が出るタイトルであり当然手綱にちからが入る一戦。

クシロキンショウ
 本来なら今期限りで定年引退の歳だが、「最終格付がオープン又は準オープンの馬は1年に限り定年の延長が可能」という特例措置に従い来年も現役を続行する古豪クシロキンショウ。同期のウンカイが引退を表明したが、この馬にはあと一年重賞戦線を盛り上げるべく頑張って欲しいものだ。
 重賞タイトルを振り返ってみると。。。『イレネー記念』(97'帯広)、『北見記念』(00'北見)、『岩見沢記念』(01'岩見沢)、『帯広記念』(03'帯広)。内容は非常に濃いがタイトル数としてはやや少ないか。ハマッた時の強さは格別だが、障害にややむムラが有るのが難点なのかな。

 『ばんえい記念』への挑戦は今年で3度目。02'年は8着、03'年は9着。なんとも相性が悪い。昨年の『帯広記念』では8番人気の低評価ながら910キロの重量を曳いて勝ち切りあっと言わせたが、どちらかというと重量が重すぎると信頼度が落ちるタイプ。
 今年もやや人気が低いが古豪の意地を見せてもらいたい。


 Race's Impression !

たっぷり水分を含んだ馬場でのスタート
 本日は朝から天候・雪。第1レースは水分量3.9%で始まったが、午後に入っても雪は降り止まず積雪量が増えて、より水分を含んだ馬場になって行く。メインレース前の特別戦でもスピード馬場を生かして前々で競馬し恵量を生かしたレースをした馬の好走が目立った。
 メインレースは水分量6.9%と、かなり水を含んだ状態の馬場でレースを迎えた。全馬同斤量なので、斤量による恩恵馬はいないがやはり前々で競馬する方が有利な馬場には違いない。夕闇が近づく頃、注目の一戦のスタートが切られた。

 さすがに歴戦の古馬達、出遅れる馬も無くほぼ横一線でゲートを飛び出た5頭。クシロキンショウあたりが積極的に前へ前へと先手を取って第1障害へ進む。スーパーペガサスが付かず離されずその後に続く。
 1000キロの荷物では「軽々と第1障害を越え」というわけにも行かないが、それでも「ヨイショヨイショ」といった感じで全馬問題なく障害をクリアー。


  (第1障害通過順) クシロキンショウ - スーパーペガサス - ミサキスーパー - ヒカルセンプー - シンエイキンカイ

 ばんえい競馬、特に高重量戦の面白さは第1障害を越えた後の各馬の駆け引きの様子だ。早く第2障害にたどり付き息を整える時間を長く持つか、そろりそろりと行って一気に仕掛けるか。
 各馬ゆったりとした足取りで進む。終始先頭を進み後続の動きをうかがうのが1番人気スーパーペガサスと岩本利春騎手。シンエイキンカイ、クシロキンショウがスーパーペガサスに続いて進み、その後ろからミサキスーパー、ヒカルセンプーが流れを計る感じでレースは流れる。


  (第2障害到着順) スーパーペガサス - シンエイキンカイ - クシロキンショウ - ミサキスーパー - ヒカルセンプー


そして注目の第2障害
 勝負の明暗を分ける第2障害。まずスーパーペガサスが動いた。それを合図にシンエイキンカイ、そして他の馬も一斉に障害に挑み、そして長い奮闘が始まった。

 各馬一歩上がっては止まり、騎手に促され反対側の脚を上げ一歩進みという感じで障害を上って行く。スーパーペガサスもさすがにこの重量では一腰では越えられず障害頂上手前で、膝をつきつつ格闘している。
 格闘のなか最初に障害をやっつけて降りて来たのがミサキスーパーだった。水分十分の馬場がソリを滑らせ、ミサキスーパーの馬体を平坦な走路へと軽快にうながす。立て直したスーパーペガサスも程なくミサキスーパーの後を追いスルスルと障害を下って行く。


第2障害を最初にクリアーしたのはミサキスーパー、追うスーパーペガサス
  (第2障害通過順) ミサキスーパー - スーパーペガサス - シンエイキンカイ - ヒカルセンプー - クシロキンショウ

 このまま逃げ切りたいミサキスーパーと鈴木勝堤騎手。手綱に力が入る。
 しかし、スーパーペガサスの脚取りにはそれを上回る力強さがある。じわりじわりと差を詰める。そして、ゴール板100mくらい手前でついにはミサキスーパーを捕らえ交わした。


粘るミサキスーパー
粘るミサキスーパー、鈴木勝堤騎手!
直線での力強さは一枚上だ!スーパーペガサス堂々2連覇
Click! 【大きな画像で観る!(jpeg画像48KB)】

   ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

スパーペガサス2連覇達成
 スパーペガサスが格の違いを見せ『ばんえい記念』を堂々の2連覇。来年の3連覇の偉業達成と、フクイチ以降久々の1億円賞金馬出現への夢へと想いを馳せてしまいます、ってまだ気が早いか(笑)。脚元に不安が無いので、2つの夢が達成される可能性は結構高いのじゃないか、と期待してます。

 そして、本日の最も大きな収穫といえば本格化したその実力をまざまざと見せつけたミサキスーパーの走りだった。鈴木勝堤騎手はミサキスーパーに最高の走りをさせた。ホントに完璧なレースだった。これで負ければ力負けと納得出来る走りだったでしょう。と、同時にさらに力を付けて「来年こそは!」という想いが強まったことでしょう。

 シンエイキンカイはスムーズにレースを進めたものの、う〜ん、もう少し馬場が乾いて重い方が前2頭に肉薄出来たのかもしれませんね。ヒカルセンプーは障害をスムーズに越えられなかったのがすべてか。

 シンガリとなってしまったクシロキンショウはスーパーペガサス入線後1分半以上離されての入線となったが、観客からは優勝馬以上の拍手を持って迎えられた。観客も完走するだけでも大変なレースであることを知っているからである。
 この拍手があるからこそ『ばんえい記念』は来年も観たくなってしまう、そんなレースなのであります。


レース結果
着順 馬名 人気 タイム
1 スーパーペガサス 1 3.07.8
2 ミサキスーパー 2 3.10.4
3 シンエイキンカイ 3 3.15.0
4 ヒカルセンプー 4 3.29.2
5 クシロキンショウ 5 4.48.1
(払い戻し)
単勝:【4】120円
複勝:【4】110円/【2】120円
馬番連複:【2-4】120円
馬番連単:【4-2】240円
Winner
 スーパーペガサス  父)半血・ヒカルテンリユウ
母)半血・アサヒシヤルダン
母父)ベルジ・マルゼンストロングホース

スーパーペガサス




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