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ぶらり、草競馬
ぶらり、盛岡競馬場
 (1997.10.17up)

いざ!ORO PARKへ
 「SPITZのコンサートつきあわないか?」残業続きの、寝ぼけ頭の僕の耳に電話の向こうの友人のO君が怒鳴った。時計を見ると夜中の2時。
 「別にいいけど...」電話を早く切って寝床にもぐりこみたい僕は気の無い返事をした。「で、何時、何処で?」「明後日から盛岡で」は!?
 盛岡?明後日からの「から」ってどういう事?泊りでコンサート行くんか?「ちょっと、頭が混乱してるんで、明日また掛ける。」再びグーグーと寝に入った。

 小岩井農場で開催される、− Spitz The Great Jamboree'97 in小岩井−という、JR東日本企画のツアーがあるので付き合え!という話のようだ。なんでも、秋田新幹線開通記念と宮沢賢治生誕百周年とSpitz結成10周年と、何かいっしょくたになった企画らしい。O君は最近彼女に振られて、”野郎”しか誘う相手がいない...。
 ふむ、盛岡といえば、旨い物が食べれそうだし、なにより噂の「ORO PARK」こと盛岡競馬場が有るじゃないか!一応、失恋慰め旅行という名目で二人は出発した。


麺の宝庫、盛岡は!!
 との噂を聞いていた。事前調査した結果、盛岡は「冷麺」「わんこそば」「じゃじゃ麺」との、3種の神器ならぬ「3種の麺」が名物らしい。はて、なぜ盛岡で韓国冷麺なのか?
 特に町興しとかで店を増やしていったという話でも無いらしい。ちょっと不思議。とにかく自称「麺喰い」の私としましては、「駆けつけ3杯」じゃ無いけど、まずは3つの麺を味わいたいと思っていた。

 大宮から新幹線で揺られること3時間15分、JR盛岡駅に到着。昼食時のお腹もいい案配に空き始めた頃合いだった。
 「まずは冷麺を制覇じゃー!」ということで、早速ガイドブックに載っていた盛楼閣という駅の真向かいにあった焼き肉屋さんに向かった。2階のその店へと続く階段に何やら人がぞろぞろと立っているのが見えた。いや〜な予感は的中した。それは、その盛楼閣さんに入ろうと並んでいるお客さんの行列であった。

 「これ、皆さん並んでるんですか?」「おうよ!30分は待つよ!」嘘ではなさそうだ。やはり麺の街・盛岡!恐るべし。仕方なく2人は退散した。
 「どうするよ?」「何いってる!麺の街だぞ、その辺歩いていりゃあ、めちゃめちゃ旨い冷麺・じゃじゃ麺のお店がウジャウジャあるはずさ!」

 しかし、ウジャウジャはなかったし、結局「じゃじゃ麺」という物にはお目にかかれなかった。ジャージャー麺を置いてる中華屋さんはあったが...。
 こちらでいう「じゃじゃ麺」とは、ジャージャー麺とは違うもので、皿うどんに肉ミソをかけて食べるものらしい。どうやら旅人がふらっとやって来てすんなり”盛岡・麺の神髄”に触れるのは甘かったようだ。
 気を取り直してガイドブックに載っていたもう一軒の大同苑というお店に向かった。途中ぽつりぽつりと雨。街の中をゆったりと流れる北上川の姿が印象的だった。




入場門 山の山腹にそびえ立つ競馬場
 盛岡駅から無料の送迎バスが出ているとの話を聞いていたので探してみたが、その姿は見当たらない。どうやら土日の運行のみで、あいにく月曜日のその日は運行していないようだ。通常の路線バスも丁度出た後で1時間待ちとのこと。
 仕方なくタクシー乗り場へ向かい「幾らで行くの?」と聞いてみた。「3000円くらいかな?兄ちゃん乗って行きなよ!」愛想の良いその言葉につられて僕等は出発した。

 競馬場へと続く、良く整備された道路は空いていた。それでも地元のタクシー運ちゃんいわく、「中央の武豊が来る日なんて、大変な騒ぎだよ!」とのこと。


スタンド  JRAとの交流レースの多い盛岡競馬場、先週も『クラスターカップ』(GIII)が開催されたばかりである。それにしても、競馬場のある土地でタクシー運転手に競馬の話をすると、必ずと言っていい程話が弾むなあ、殆ど例外無く...。

 盛岡競馬場は、中央競馬の主要GIレースの場外発売も行っているので、ことさら競馬ファンも多いであろう。「盛岡競馬場は商売が上手いなあ」、なんて思ったりして..。というよりも、自身、地方と中央の架け橋的役割をかって出ているようで、地方競馬活性化に向けてのリーダー的存在として期待されているようだ。

 96年、岩手競馬のもう一つの舞台である水沢競馬場から、やはり全国交流レース『マイルチャンピオンシップ南部杯』(GI)が名前の通りに旧南部藩の地である新盛岡競馬場に移り、名実共に東北地区で最大級の競馬場となったと言って良いだろう。


  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

緑豊かな競馬場  タクシーを走らせること約30分。運ちゃんの「競馬ですってんてんになった客のタクシー代を払わせる為に、自宅まで金取りに行かせたりして大変だったよ!」てな話を聞いてるうちに、南部富士とも呼ばれる岩手山をバックに従えた新盛岡競馬場が姿を現わした。

 それは、「ミニ中山競馬場」と言ってもいい様な、きれいで近代的な競馬場であった。「山ん中にえらい物おっ建てたもんだ!」それが第一印象である。
 入場門の前に幾つかの馬をテーマにしたオブジェ、門を入ってすぐの所に大きな馬の銅像、が建っており、スタンドの真新しさと相まって地方の競馬場としては見たこともない程モダンな造りになっている。
 しかし、競馬場の雰囲気はというと、平日のせいもあるのか人はまばらでえらくのんびりした雰囲気で包まれていた。

 「まあ、馬券は当たっても当たらなくてもどっちでもいいか!」そんな気持ちにさせられる。が、それは多分、負けた時への言い訳をとっておいているだけであろう。こんなに馬券を買う人達ものんびりしている(たまたまその日だけかもしれないが...)所で競馬をやっていると、普段人混みの中でパドックも良く見えず、馬券買うのに何10分も並ぶ府中競馬場とかで競馬やるのが嫌になるよね、ホント。


直線の争い 芝コースを完備!
 さて、肝心なコースの方だが、内側が地方競馬専用としては初の芝コース(1400m)、外側がダートコース(1600m)である。
 ともにゴール前に4.4mの高低差を持ち、直線距離が400mもあるハードなコース。中山競馬場ですら直線が310mしか無いのを考えてみても、直線での"叩き合い"が魅力であることが分る。
 こんな恵まれたコースから(馬が喜んでるかどうかは知らんが...)全国区に殴り込みを掛けるタフな馬が出てくる日もそう遠くはないだろう。

 その様なコースでは"差し馬天国"の様に思われがちだが、私の印象では直線一気型のどん尻を走っているような馬はあまり信用できないようだ。ホームストレッジが長い分、バックストレッジも長い。
 力のある馬は向う正面から好位置をキープ、ある程度中段まで上がって行けるような自在性のある馬が信用できそうだ。

 私が行った日は、無印の逃げ馬2頭が「行った行った」の競馬で穴を開けていた。砂は割かし浅く、スピードの無い馬には厳しそうだ。
 芝のレースはダートのレース以上に予想するのが楽しく、かつ難しい。芝なんか使ったことのない馬がごろごろ出ている。盛岡の芝コースで安定して走っている組か、それとも水沢から遠征してきたダートの上がり馬を上位に取るか、正直悩みまくる。

 そういった時はやはりトップジョッキーに頼るしか無い。トップ3の菅原勲小林俊彦佐藤雅彦の3人である。その日も、本命やら穴馬やらで順繰りに馬券に絡んでいた。勝負どころの気配を読み取れるかどうかが鍵だろう。




場内 馬券はスタート良けれども、後が。。。
 さて、せっかく地方の競馬場に来たのだから、一般席で地元のおっちゃんに”馬券のコツ”を教わりながら見物しようかなとも思ったが、上の席から山の景色を眺めつつのんびりやろうと決め指定席に入った。
 ゴール板の丁度真ん前。コーヒーもお茶も無料サービスでなかなか気が利く競馬場だなあ、ここは。
 「まあ運試しに早速一レースやってみっか!」新聞を開いてみると第5レース・アラブ系のスプリント戦だった。

 8歳・7歳と高齢の古馬が目立つ。2番と4番の馬で堅そうだった。2頭とも適度な気合いが入っていて悪くなかった。
「よっしゃ、1本買いじゃ!」勢いとは裏腹に2000円だけ(苦笑)。レースは中段から伸びた2頭が他馬を突き放し印通りの決着。


パドック  「あれ?馬券ってこんなに簡単なもんだっけ?」ちょっと拍子抜けしたが気分は悪くない。配当は300円だったが勝ちは勝ち。
 「今日大儲けしたらもう一泊していくか!」そんな気分になっていた。
 しかし、私は最初の1レースが当たると何故か後のレースは調子が悪い。残りのレースの結果は、言わぬが花。。。

 盛岡競馬場で一つだけ物足りなかったと言えば、食堂が新しすぎたということかな。
 地方の競馬場での楽しみと言えば、例えば「古いスタンドのカツ丼は旨いぞ!」とか「2階スタンドのタンタンメンは絶品!!」なーんていう楽しみが無い点がちょっと物足りなかったかな。あと10年も20年も経てばもっと年期が出て来るであろう。

 さて、場内では次開催の目玉である古馬の重賞・みちのく大賞典の登録メンバー表が置かれていた。メンバーを見ると、何か懐かしい面々で嬉しくなる。

 元中央勢のインターマイウエイ(8歳)、エーブアゲイン(8歳)、シャマードシンボリ(10歳!)、ロイヤルハーバー(8歳)、元南関東のプレザント(8歳)、スティーブ(9歳)など...。
 古馬も古馬、古いのばっかり(苦笑)。皆北の地で第2の人生、いや第2の競走馬生活を送っていたんですねえ。
 (ちなみに後で結果を見たら10歳馬のシャマードシンボリが優勝したとのこと。御苦労様です。)



盛岡map  また、雨が降りそうな天気になってきたので最終レースを待たずに切り上げることにした。馬券の方はさえなかったが、のんびりした気分の良い時間が過ごせた。

 次回はぜひ、中央との交流レースをやっているような華やかな雰囲気の時に訪ねてみたいと思った。


盛岡競馬場
(住所)岩手県盛岡市新庄字上八木田10
(電話)0196(51)2999
(交通)JR盛岡駅から車で30分
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