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ぶらり、草競馬
ぶらり、岩見沢競馬場
 (1998.8.22up)

 なぜ私は競馬場へと足を運ぶのだろう?例えば見知らぬ土地で握り締めている500円やら1000円単位で買っている馬券が数十万円、数百万円の単位で財を成す訳でないのは知っている。せいぜい1万円か2万円とれば「う〜ん、今日は大儲け!」なんて気分になれる。
 いやいやその日終わって2〜3千円でも勝っていれば「よかった、よかった」てな具合いになる。

 地元のおじさんが10〜20通りも買っている馬券の中から当たりを見つけて5センチくらい跳ね上がりながら「ほらほら最後に500円だけ押さえてたんだ!でも人気になっていたから元取りか」なんて言いながらも幸せそうな顔をしているのを見ていると、我々の幸福な一時というのはお金の大小とは必ずしも比例する訳じゃないんだな、なんて妙に納得してしまう。
 そんなニコニコした人々との雰囲気を共有する為にまた見知らぬ土地の行ったことの無い競馬場へと足を運ぶ私であった。


北の地でしか見れぬ”ばんえい競馬”に会いにはるばる...
 北海道岩見沢市へやって来た。世界広しといえども北海道でしか観れない『ばんえい競馬』の観戦と、涼しげな北海道で更なる「涼」を求めて『旭川ナイトレース』を楽しもうというのが今回の北海道旅行の目的である。

 ばんえい競馬は『鉄のソリを馬に曳かせ全長200m、途中2ヶ所の障害(坂)のある直線コースで争う競馬』である。北海道開拓時代に農耕馬で祭りとしての競馬を楽しんでいたのが起源であるという。
 現在の主流である平地のスピード競馬と比較すると特異なスタイルの競馬にも思えるが、農耕民の一時の安らぎとしての行事として始まった競馬が昔ながらのスタイルで残っているばんえいこそがある意味で最も本来の競馬の原点に近い様な気もする。


ばんば馬像  旭川駅から快速電車で約30分。岩見沢駅に降り立つと駅のホームにドンと置いてあるばんえい馬の像が出迎えてくれ「ばんえいの町に来たんやな〜」という雰囲気を盛り立ててくれる。

 すでに午後1時を回っており無料の送迎バスも終わっていたので路線バスにそそくさと乗り込む。
 15〜20分くらい揺られてバスターミナルのおねえちゃんに聞いておいたバス停に到着。閑静な住宅街。ハテ、競馬新聞を持ったおじちゃん達の姿もなければ、看板も見当たらない。「間違ったところで降りたか?」ちょっとやな予感。
 近所の親切な花屋のお姉さんに聞いて住宅街をちょっと見下ろす高台に競馬場は在るということを聞きホッとする。ばんえい競馬場初訪問も目前!ということで自然と足も小走りに...。


入場門 季節の数だけばんえいアリ
 ばんえいの競馬場は北海道に4ヶ所あり、それぞれの開催時期が季節ごとに持ち回り開催している様だ。

 今期の開催を見ると、旭川競馬場開催は春と秋(4〜5月、10月)の開催、北見競馬場は初夏と初冬(6〜7月中旬、11月)の開催、帯広競馬場は真冬の開催(11月下旬〜2月)、そして真夏(7月中旬〜9月末)のばんえい競馬といえば岩見沢競馬場といった具合である。
 酷寒の帯広で鼻水を凍らせながら楽しむばんえいもこれまた北海道らしいがちょっと辛そうな気も...。

ばんえいmap  たいていの競馬場といえば自分の厩舎がどこか一個所地元競馬場の近辺にあり、他の競馬場と交流がある場合は出走馬だけ輸送して行くのが普通だ。

 北海道のばんえい競馬の場合は、その地の開催が終わると次の開催地へ厩舎所属の馬も人もすべて移動するという。厩舎施設が4個所ある感じか。
 岩見沢開催が終わると秋の開催地である旭川競馬場へとまた大移動を始めるわけである。
 北の大地を渡り歩く勝負師達とばんえい馬達はレースと観客とを求めて季節の移り変わりの中を流れ続けるのである。


誘導馬とばんえい馬  誘導馬と比べるとばんえい馬の大きさが良く分かる!
 ちょっとした子供のゾウくらいの大きさがあるのでいれ込んでいる馬の馬体検査などは、数人の係員で行ってもかなりオッカナイらしい。
立ち姿  ばんえい馬のルーツはほとんどが外国産。そう言われて見ると、うん、なんとなく気品溢れる姿。下記3種の混血の半血種を主流とし北海道で生産されてる。
ペルシュロン種
 フランス北西部のペルシュ地方土着の大格馬にアラブの血が入った品種。

ブルトン種
 フランス・ブルターニュ半島原産。馬格が大きく頑丈で持久力に富む品種。

ベルジャン種
 ベルギー・ブラバンド地方原産種をアメリカで品種改良。毛が短い。




レース遠景

ばんえい競馬リーディングジョッキー
(97年度 *1997.4.19〜1998.2.9)
順位 騎手名 厩舎 1着 2着 3着 連率
1 金山明彦 岡田 167 109 109 31.4%
2 岩本利春 三浦 126 125 95 28.4%
3 大河原和雄 服部 125 121 90 27.8%
4 坂本東一 梨本 111 94 86 23.1%
5 松井浩文 松井 104 97 88 24.4%
6 藤本 匠 西邑 102 90 106 21.8%
7 西 弘美 山本 97 90 94 22.2%
8 千葉 均 大友 90 106 84 22.3%
9 山本正彦 83 86 92 19.3%
10 藤野俊一 宮崎 71 83 82 20.6%
1998年度 第3回岩見沢ばんえい競馬 第2日目 (1998/8/11)
 競馬場では第8レースのパドックに馬がゾロゾロと入り込んで来たところだった。
 サラブレッドやアラブのスマートな馬に見慣れている私はばんえい馬達がノシノシと周回している姿にただただ圧倒されるばかり!ちょっと恐いくらいの迫力である。
 やがてジョッキーが入場して来て平地のレース同様馬の背に跨り本馬場入場となりスタートを待つ。

 そしてレースが始まり興奮を覚えた。現在、競馬もスピード競馬がより主流になってきているが、この力と呼吸のばんえい競馬を観たらきっとあなたも興奮するに違いない。
 騎手の気迫あふれる掛け声とムチの響き。鉄ゾリのガチャンという音。そして坂を駆け上がる前に騎手が馬を止め息を整えるその一瞬の静けさ。張り詰めた緊張感がたまらない瞬間。
 ”静”と”動”の興奮、それがばんえい競馬の面白さだね!

 直線コースでレースはおおむね人が歩くぐらいの速さで進む。観客は馬と一緒に自分の買っている馬を応援しながらゴールに向かって歩いて行く。この観客との一体感もばんえい競馬の魅力の一つであろう。

 平地のレースは鼻先がゴール板に入れば一着であるが、ばんえい競馬はソリの最後尾がゴール板を過ぎた時点でゴールとなる為、最後まで目が離せない!
 軽やかに逃げまくった馬がゴールに頭一つ突っ込んだ所でパタッっと止まり後ろから来た馬に差されるなんて時はホント胃に悪そう。
 ばんえい競馬は心臓の弱い人とか痔持ちの人はあまり近くで観ない方が良いかも...(笑)。


コース正面 馬券もいつもとは勝手が違うなあ
 さて観ているだけでも十分楽しいのだが、やはり馬券を買って応援する方が力が入るに決まっている。
 早速新聞に顔を突っ込み馬柱を見てみるが、う〜ん、どうも勝手が違うなあ。馬券を買うファクターが絞り込めない。
 平地のレースだと馬場状態は「良」だの「重」だのと表示されるがここでは「水分0.4%」などという表示になっている。
 なんでも水分が多いとソリの滑りが良くなりタイムも早くなるということらしいが...、深いなあこの世界。

 北海道のばんえいコースは皆直線200mで2つの障害と決まっているが、それでも各コース特徴があるようだ。岩見沢コースは障害が最も高いが砂の粒子が細かくスピード馬に有利なコースらしい。まずは「コース巧者を狙え!」ですかね。
 それと当然ジョッキーの腕がモノを言うはずだ。

金山騎手
ミスターばんえい
金山明彦騎手
(3000勝達成騎手)
岩本騎手
ミスターを越えろ!
岩本利春騎手
(1400勝達成騎手)
 3000勝ジョッキーの金山明彦騎手は「ミスターばんえい」と呼ばれ親しまれている看板ジョッキーである。が、最終レースまで騎乗レースないよ...。
 となると頼れるのは現在乗れている岩本利春騎手を狙う手だな。

 9レースに御誂え向きの馬がいた。岩本騎手の5番キタノコテツ。
 やはりトップクラスのジョッキーは1日1〜2鞍くらい星勘定に入れている有力馬に乗るはずだ。岩本騎手の今日の勝負馬はこの9レース(800万未満の平場戦)とメインの特別戦とみた。
 パドックでの岩本騎手の眼も「おいあんちゃん、黙って俺の馬券たんと買っておけよ!」とそう語っていた(様に見えた、笑)。人気は結構割れていたので単勝を買い込みレースに観入る。

 レースはキタノコテツが先行してとガンガン坂を駆け上がり逃げまくる。おおっ、すごい。2着をえらく離しブッチギリの楽勝だ。ふふふ、俺の眼に狂いはなかった、よっしゃ!とそう見えたんだけどねえ。。。
 でも、ゴール前3メートルくらいでパッタリ止まってしまったんだわこれが。万事休す!結局2番のウィナービジンにかわされ2着。枠連【2-5】1240円。残念。




桂沢湖特別
 4歳以上・800万円未満 距離:200m/1着賞金75万円
 (天候:曇り 水分:0.4%) *印は”HorseNews馬”本誌予想
馬名 斤量/性齢 騎手 厩舎
1 1 ミホショウリ 690/牡馬6歳 坂本東一 水上
2 2 スピードシンザン 690/牡馬7歳 岩瀬和幸 田上
3 3 アサヒホウザン 690/牡馬9歳 藤野俊一 三浦
4 4 キンポタロウ 690/牡馬6歳 山本正彦
5 5 ヨシゴウリキ 690/牡馬9歳 松田道明 前原
6 6 クリスタルシーザー 690/牡馬6歳 岩本利春 鵜沼
7 7 キンタイトル 690/牡馬9歳 尾ヶ瀬馨 尾ヶ瀬
8 マツノユーキ 690/牡馬6歳 皆川公二 尾ヶ瀬
9 9 クリタイキ 690/牡馬6歳 夏井 功 宮崎
10 ダイヤタイショウ 690/牡馬6歳 大口泰史 宮崎
メインレースは負担重量690キロ!
 ばんえい競馬のクラス分けは大きく600万未満→800万未満→1100万未満→1400万未満→オープンと別れているようだ。

 ちなみに馬の負担重量は3歳は500キロ以上(牝馬は20キロ減)、4歳以上は570キロ以上、オープン馬は700キロ以上(牝馬20キロ減)となっている。最高で1トンもの重量を曳かされるレースもあるとのことでたまげる。

 メインレースは賞金800万円未満条件の特別戦。
 とにかく新聞を見ても印が割れていて予想は難しそうである。裏を返せば実力拮抗の良いレースが期待できそうであり楽しみだ。

 5番のヨシゴウリキが人気。前3走とも同クラスで1着−2着−1着と好走。前2走は岩見沢コースでもありコース適性も十分。父も”カイリキ”(=怪力)と強そう!厩舎コメントも「特別戦の方が流れが向きそうですよ」と強気だ。

 6番クリスタルシーザーも前2走とも同条件連対。鞍上が岩本騎手であるのも心強い。ペースを握るのはこの馬か。

 4番キンポタローの父は名馬・キンタロー(ばんえい史上初の1億円馬。1992年に他界)の産駒。前3走の600万条件をすべて連対。上がり馬といったところか。勢いがありそう。
 7番キンタイトルはこのクラスの安定株。前走同クラス1着で「もう一丁!」というところか。


スタート!
第2障害へ向かう

ゴール前  レースは予想通り6番クリスタルシーザーが逃げる展開で7番キンタイトルや9番クリタイキも続く。
 2つ目の坂を越えるあたりでクリスタルシーザーが完全に抜け出しそのまま行きそうだ。

 さて2着は2番のスピードシンザンが残りそうだったがゴール前勢いが止まってしまう。
 追いかけてきた10番ダイヤタイショウと8番マツノユーキに差されてしまった。

 馬場が非常に乾いていた為舞い上がる砂がレースの迫力を盛り上げ印象的であった。
 単勝【6】270円/枠連【6-8】2070円。



岩見沢Map この迫力に君も出会ってくれ!
 最近は日高牧場などに懐かしの名馬を訪ねて行くツアーなどが結構人気の様だが、北海道へ行くならばんえい競馬観戦を加えてみてはいかが?あなたの知らないもう一つの競馬に出会えますヨ。

 色々御世話になりばんえい競馬/北海道競馬の今後について”熱く”御話を頂きました市営競馬組合のF様、場内を案内頂きました市営競馬組合の方々にはこの場を借りて厚く感謝申し上げます。
 北海道は気候は涼しいが人はホットで良い所でしたヨ。

 さて次の日は旭川ナイトレース。北海道の馬券はまだ続くぜ!


岩見沢競馬場
(住所)北海道岩見沢市日の出町444
(電話)0126(22)4438
(交通)JR岩見沢駅から車で10分(路線バスあり)
   *開催時は無料バス運行


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